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スペインからの手紙

エストレマドゥーラ編

堀田節子

1984年11月1日
 10月12、13、14日にドライブ旅行をし、スペイン西部のエストレマドゥーラ地方をまわってきました。9月上旬に計画を立て、レンタカーを頼み、パンフレットを集めたりしていました。10月12日は、Día de la Hispanidad と言って、コロンブスがアメリカ大陸を発見した記念日で、国をあげての祭日です。堀田善衛さんの『スペイン断章』を読んでから是非行ってみたい、と心に秘めていたトルヒージョ、メリダ、カセレスという古い3つの町を訪れたのだけれど、12日にインカ文明をほろぼしたピサロの生地トルヒージョに入ったため、一大お祭りにまきこまれました。南米の衣装を身につけたスペイン人が、ケーナの音にあわせて踊ったりしているのです。「発見」された側の立場は考えていない様子。カセレスは、城壁に囲まれた中世そのままの石の町がそのまま残されていて、静かな落ち着いた所でした。メリダは劇場、円型劇場、家、モザイク、アーチ、橋、水道橋etc.が2000年前のなごりを留めてがんばって残っている奇蹟のような町でした。どこも町の外は、荒涼たる風景が無限に広がっているだけなので、石の壁にもあたたかみを感じてしまいました。子供達にとっては、特に興味ある旅行ではなかったのだけれど、番外に4人もの日本人が同行してくれたので、レストランに入るのに1時間半待ち、国道5号線を行ったのだけれど途中の1つの町をぬけるのに2時間かかるほどの渋滞ぶりに遭遇したり、方々でことわられて、2晩共泊まるところをさがして夕方から夜おそくまでウロウロというズッコケ旅行でしたが楽しめました。車でないと行けない地方なので、ライセンスのないT先生を我々の車に同乗するようさそったら後3人も話を聞いて行きたいと参加し、計8名が2台に分乗して行きあたりばったり的に旅行したのです。我々だけならいろいろ予約をとって行くはずが、8名だと連絡をとりあうめんどうくささもあって「なんとかなるだろう」式になったのは不思議です。普通日本人があまり行かない所に8人ものグループ(スペイン語の先生3人、大学院生1人、奥さん2人、子供2人)が乗りこみ、皆スペイン語を話すため(私と子供達は片言ながら)、注目を集めてしまいました。ゾロゾロ旅行は好きではないのだけれど、皆楽しい人たちだし、ガイドはしてくれるし、子供の相手もしてくれるし、で実にたすかりました。この連休が寒くなる前の最後の観光チャンスだったらしく、スペイン人が民族大移動よろしくあちこちに動きまわったようです。我々も行動パターンがスペイン人に似てきたよう。
堀田節子    

2019/5/25 - 2020/3/14.
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