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『スペイン語文法項目別ドリル問題集』解説 
堀田英夫 

第2章 名詞類


p.6-p.7

2-1 [名詞の性]

1) -o で終わる多くの語は男性名詞、-a で終わる多くの語は女性名詞:
  el cielo(m. 空、天)、la tierra(f. 地面、土、地球)
  例外もある: el mapa(m. 地図)、la foto(f. 写真)、la mano(f. 手)など
2) おおむね、男・雄を表す語は男性名詞、女・雌を表す語は女性名詞:
  el chico(m. 男の子), la chica(f. 女の子)
  例外もある。la persona(f. 人・人物)、la víctima(f. 犠牲者)など
3) 動物を表す語には、男女どちらかの語形しかないものがある:
  avestruz(m. ダチョウ)、rana(f. カエル)など
  この場合、雌雄を示すには、macho(雄)、hembra(雌)の語で表現する: el cocodrilo hembra 雌のワニ、la ardilla macho 雄のリス
4) 男女区別する語形があっても性を意識しないで言及する時、代表的な(性の)形を使うものがある:
  perro(m. 犬、perraもある)、oveja(f. 羊、雄の羊には corneroがある)など
5) 無生物は、語を覚えるのと同時に性も覚えていくのが効率的。
  語尾(接尾辞)で性がわかる語がいくつかある: -aje, -or などの語尾を持つ多くの語は男性名詞。-dad, -ción, -sión などの語尾を持つ語は女性名詞。

(例) comida(f. 食事、食べ物)
(1) desayuno(朝食), (2) cena(夕食), (3) hombre(男、人間),
(4) mujer(女), (5) mano(手)

2-2 [複数形の作り方]

1) 母音で終わる語には-s、子音で終わる語には-esを付ける。
 例: estudiante(m.f. 学生) -> estudiantes, señor(m. 男の人) -> señores
2) 外来語、名詞化した副詞などでこれらの例外がある: no(否定の返事) -> noes, mamut(マンモス) -> mamuts
3) アクセントのある-í, -úで終わる語は -esを付けることが多い: bisturíes ~ bisturís(手術で使うメス), tabúes ~ tabús(タブー)
4) 最後の音節にアクセントが無く、-s で終わる語は、単複同形(単数形と複数形が同じ語形)である。
 el viernes(金曜日に) -> los viernes(毎金曜日)
5) 発音上の語アクセントの位置は、ほとんどの語で -es をつけても変わらない。アクセントを綴りで表すためには、語尾に-es をつけ一音節増えた形で、再度アクセント符号の規則を適用させてみると、単数形の場合とで、符号をつける、つけないが異なってくるものがある。
 examen(m. 試験) -> emenes, canción(f. 歌) -> canciones
6) 一部の語で単数と複数とでアクセントの位置が異なるるものがあるが、それらは個別に覚える必要がある:
 carácter(m. 性格) -> caracteres, escimen(m. 見本) -> espemenes, gimen(m. 体制) -> remenes
7) スペイン語では、普通 ze の綴りは使わず、ce に変えるので、-z で終わる語を複数形にすると -zes でなく、-ces の語尾とする。
 una vez(一度) -> dos veces(二度)

I. (例) japonés(m. 日本人)
(1) estudiante(m.f. 学生), (2) señor(m. 男の人) (3) joven(m.f. 若者)
(4) lápiz(m. 鉛筆) (5) paraguas(m. 傘)

2-2 bis [複数の意味]

1) 数えられるものが1つでないとき複数形にする
tres sillas 3脚の椅子、cuatro empresas 4つの企業、cero grados ゼロ度
2) 普通ペアで使うものは複数形で使うことが多い
unos zapatos 靴1足・数足、las gafas 眼鏡
3) 男性女性両方の名詞が含まれる時は男性名詞の複数形で表す。
caballos 馬 = caballo(s) 雄馬 + yegua(s) 雌馬, hermanos = hermano(s) 兄弟 + hermana(s) 姉妹
¿Cuántos hermanos tienes? - Tengo dos hermanas. 兄弟は何人いるの? -姉(妹)が2人です。
4) 男女ペアを男性形複数で表す
los padres (= el padre + la madre) 両親、los reyes (= el rey 王 + la reina 女王) 国王夫妻
5) 女性が含まれることを可視化するためには、女性名詞も表現される
Estimadas profesoras y Estimados profesores, (手紙の冒頭)拝啓 諸先生各位
Día Mundial de las Madres y los Padres 国際親の日(2012年国連総会で、世界中で両親の苦労を思い、敬意を表する日を6月1日とすることが採決された)

 名詞の複数形で、例えば、padres は「父親たち」(padre + padre ..)の意味の時と、「両親」(padre + madre)の意味の場合、そして「両親たち」(padres + madres)の場合とがある。madres は「母親たち」の意味である。
Las Madres de Plaza de Mayo 5月広場の母親たち(アルゼンチンの軍事独裁(1976-1983)下、行方不明となった子や身内の消息を求めて、政権による人権抑圧に抗議活動をした母親たち(とその支持者)による1977年以降の運動・集まりのこと)
 reyesは、「国王と女王(王妃)」を表す場合と、「王たち」、それに「王たちと女王(王妃)たち」を表す場合がある。
Reyes Católicos カトリック両王、カスティリャ女王イサベルI世(Isabel de Castilla, 在位1474-1504)とアラゴン王フェルナンド2世(Fernando de Aragón 在位1479-1526)の2人のこと
los tres Reyes Magos 東方の三博士(直訳は3人のマギの王たち、東方の聖者が星に導かれてキリスト誕生の所に来て、贈り物を捧げ礼拝したことにちなみ、スペインなどでは毎年1月5日の夕方にパレード(Cabalgata de los Reyes Magos)が行われ、その夜子供たちはプレゼントを貰う。)

  ちなみに reina の語は、イギリスのエリザベス女王(la reina Isabel II)のように国家元首としての「女王」の意味と、スペインのレティシア王妃(la reina Letizia)のように、「王妃」の意味でも使う。区別のために後者を reina consorte (国王の配偶者)と表現することがある。

2-3 [人称代名詞主格]

単数形複数形
1人称yonosotros, nosotras
2人称vosotros, vosotras
あなた様
3人称扱い
ustedustedes
3人称él, ellaellos, ellas

 多くの場合、動詞の活用形で主語が分かるので、人称代名詞主格形は、主語を強調する場合や敬称のusted(あなた様), ustedes(あなた方)を言うことで言葉を丁寧にする場合以外はあまり用いられない。
 人称代名詞複数形の意味を考える。
1) yo(私)が含まれる場合は、他に誰が含まれようと、nosotros(私たち)となる。女性ばかりだったら nosotras(私たち)となる。ただ口語では女性ばかりでも nosotros の語形が使われることも多い。
2) yo(私)が含まれず、tú(君)が含まれる場合は、他に誰が含まれようと、スペインでは、vosotros(君たち)、女性ばかりだったら vosotras(君たち)、中南米ではustedes(君たち、あなた方)を使う。
3) yo(私)が含まれず、usted(あなた)が含まれる場合は、他に誰が含まれようと、ustedes(あなた方)を使う。
4) yo(私)、tú(君)、usted(あなた)のいずれも含まれない場合は、ellos(彼ら)、女性ばかりだったら ellas(彼女ら)を使う。
 以上は、目的格や所有形容詞の場合も同様に考えることができる。

I. (例) el rey y yo (王様と私)
  『王様と私』(The King and I)は、作曲家リチャード・ロジャース、劇作家オスカー・ハマースタイン2世によるミュージカル、1951年ブロードウェイにて初演
(1) usted y Carmen (あなたとカルメン)
(2) Romeo y Julieta (ロミオとジュリエット)
  『ロミオとジュリエット』(Romeo and Juliet)は、ウィリアム・シェイクスピアによる戯曲(1597)
(3) las tres hermanas (三人姉妹)
  『三人姉妹』は、アントン・チェーホフによる戯曲。1901年にモスクワで初演
(4) tú y José (君とホセ/あなたとホセ)
(5) tú y yo (君と僕/あなたと私)

2-4 [定冠詞]

単数形複数形
男性形ellos
女性形lalas

 アクセントのある a-, ha- で始まる女性単数名詞の直前では el を使う: el agua(f. 水), el haba(f. ソラマメ)

I. (例) nariz(f. 鼻)
(1) fiesta(f. パーティー、お祭り), (2) jardín(m. 庭), (3) niño(m. 子ども),
(4) día(m. 日), (5) zapatos(m.pl. 靴)

2-4 bis [数詞の 1 / 不定冠詞 ]

単数形複数形
男性形ununos
女性形unaunas

 un, una は「1つの」という意味、あるいは「ある~」という意味で使われる。普通は和訳する必要がない。unos, unas は「いくつかの」、数詞の前で「およそ」という意味を持つ。ペアの意味での複数形で使うzapatos(靴)のような名詞の前での unos は、「何足かの」ではなく、「1足の」の意味の場合がある。

2-5 [形容詞]

形容詞の語形変化
1) 修飾する名詞が複数形なら形容詞も複数形にする。
 複数形の作り方は名詞と同じ
 直接修飾する場合も、動詞を介して修飾・説明する場合も同様。
2) -o で終わる語は、さらに、性も語尾変化させ名詞と一致させる。(男性 -o 女性 -a)
3) -o 以外で終わっていても国名や民族名形容詞の多くは性の語尾変化もある。名詞としてもよく使われる。
4) 他に派生語尾がついて形容詞となったもので男女の形があるものがある。
  hablador, -ra(a. おしゃべりの < hablar 話す), preguntón, -na(a. 質問好きの < preguntar 質問する), grandote, -ta(a. おっきい < grande(a. 大きい)+接尾辞)

単数形複数形
男女同形felizfelices

単数形複数形
男性形bonitobonitos
女性形bonitabonitas
単数形複数形
男性形españolespañoles
女性形españolaespañolas
I. (例) revista (f. 雑誌), interesante (a. 興味深い)
(1) banco (m. 銀行、ベンチ), grande (a. 大きい),
(2) lección (f. 授業、課), fácil (a. 易しい),
(3) señora (f. 婦人), rico (a. 金持ちの),
(4) hotel (m. ホテル), económico (a. 経済的な),
(5) universidad (f. 大学), español (a. スペインの)

【2-1.~2-5. 補足問題】

1.
hombre (m. 人, 男), mujer (f. 女), martes (m. 火曜), lección (f. レッスン), página (f. ページ)
2.
(1) sábado (m. 土曜), (2) papeles (m. 書類), (3) niña (f. 女の子),
(4) lecciones(f. レッスン), (5) problema (m. 問題)
3.
un libro(m. 本) [caro(a. 高価な)]
unas señoras(f. 婦人) [alegre(a. 陽気な)]
una universidad(f. 大学) [japonés(a. 日本の)]
unos zapatos(m. 靴) [blanco(a. 白い)]
unos estudiantes(m. 学生) [feliz(a. 幸せな)]
4.
El Salvador エルサルバドル(中米にある国)
La Paz ラパス(南米ボリビアの首都)
Los Ángeles ロサンゼルス(アメリカ合衆国カリフォルニア州にある都市)
Las Vegas ラスベガス(アメリカ合衆国ネバダ州にある都市)

現在のアメリカ合衆国南西部は、旧大陸からは最初にスペイン人が来ていて、当初メキシコ領であったこともあり、スペイン語地名が多くある)


p.8-p.9

2-6 [指示形容詞 / 指示代名詞]

近称 中称 遠称
単数複数 単数複数 単数複数
この ⁄ これこれらの ⁄ これら その ⁄ それそれらの ⁄ それら あの ⁄ あれあれらの ⁄ あれら
男性形 esteestos eseesos aquelaqullos
女性形 estaestas esaesas aquellaaqullas

 「〜形容詞」と名がついているので、他の形容詞と同じく、それぞれ指示する名詞の数、性にあわせて語形が決まっている。指示代名詞も指し示す物の名詞の性数に応じた語形を使う。指し示す名詞が女性名詞ばかりなら女性複数形、男性名詞が混じれば男性複数形を使う。以前の正書法では、指示代名詞にはアクセント符号を付けて、指示形容詞と区別されていた: este(この) : éste(これ)。現在の2010年正書法では、両者は区別されない: este(この ⁄ これ)。和訳するには両者を区別する必要がある。

I. (例) clase (f. クラス、学級)
(1) sombrero (m. 帽子), (2) libro (m. 本), (3) camisa (f. シャツ),
(4) mesa (f. テーブル), (5) asientos (m. 席)
II. (例) mesa (f. テーブル)
(1) vestido (m. 服), (2) hotel (m. ホテル), (3) libro (m. 本), revista (f. 雑誌),
(4) vino (m. ワイン), (5) iglesia (f. 教会), torre (f. 塔)

2-7 [所有形容詞 / 所有代名詞]

I. 所有形容詞
所有形容詞短縮形
所有者が単数複数
所有されるものが単数複数単数男性,-女性複数男性,-女性
1人称mimisnuestro, -tranuestros, -tras
2人称tutusvuestro, -travuestros, -tras
3人称
あなた様
susussusus

所有形容詞完全形
所有者が単数複数
所有されるものが単数男性,-女性複数男性,-女性単数男性,-女性複数男性,-女性
1人称mío, -amíos, -asnuestro, -tranuestros, -tras
2人称tuyo, -yatuyos, -yasvuestro, -travuestros, -tras
3人称
あなた様
suyo, -yasuyos, -yassuyo, -yasuyos, -yas

1) 「〜形容詞」と名がついているので、他の形容詞と同じく、関係する名詞の性数によって形容詞と同じ語尾変化する。
 すなわち -o で終わる語(mío, tuyo, suyo, nuestro, vuestro)は、性・数変化、それ以外(mi, tu, su)は、数変化する。
2) 名詞の前で、mi, tu, su, nuestro, vuestro という語形を使う。
3) 冠詞、数詞、指示形容詞が名詞の前にあると、名詞の後で mío, tuyo, suyo, nuestro, vuestro の語形を使う。
4) mío, tuyo, suyo, nuestro, vuestro の語形は、動詞 ser と使って、「--は〜(誰々)のです。」

I. (例) primo(m. いとこ)
(1) abuelos (m.pl. 祖父母), (2) esta casa (この家), (3) coche (m. 自動車),
(4) hermano (m. 兄 / 弟), (5) una amiga (1人の(女)友達)
II. 所有代名詞

 所有形容詞完全形の前に定冠詞を置き、「〜のもの」の意味で使う。
el mío, la mía, los míos, las mías: 「私のもの」
el tuyo, la tuya, los tuyos, las tuyas: 「あなたのもの」「君のもの」
el suyo, la suya, los suyos, las suyas: 「彼(女)(ら)のもの」「あなた(方)のもの」
el nuestro, la nuestra, los nuestros, las nuestras: 「私たちのもの」
el vuestro, la vuestra, los vuestros, las vuestras: 「あなたたちのもの」「君たちのもの」

 これらは、所有されるものの性・数によって使う語形が決まる。
¡Ojo! 所有者の性数ではない。彼のもの(camisaシャツなど): la suya, 彼女のもの(libro 本): el suyo, 彼のもの(zapatos靴など): los suyos, 彼らのもの(casa家など): la suya.

II. (例) mi libro (私の本), (1) tu amigo (君の友達), (2) la familia de Daniel(ダニエルの家族),
(3) nuestra universidad (私たちの大学), (4) el proyecto de ustedes(あなた方の計画),
(5) los libros de la profesora Sala(サラ先生の本)

【2-6.~2-7. 補足問題】

1.
(1) señor(m. 男の人)
(2) torre(f. 塔)
(3) mesa(f. テーブル)
(4) vino(m. ワイン)
(5) zapatos(m.pl. 靴)
2.
(1) hijo(m. 息子)
(2) esta universidad(この大学)
(3) tren(m. 列車)
(4) un vestido(1着のドレス)
(5) camisa(f. シャツ)
3.
― Esta es mi casa. これが私の家です。
― Esta es su casa. 文字通りは「これはあなたの家です。」

p.10-p.11

2-8 [前置詞]

a
● a +場所:「~へ」、目的地を表す。Voy a la estación. 私は駅へ行く。
● a +人:「~に」、間接目的語(~に)。Escribe una carta a su padre. 彼は自分の父親へ一通の手紙を書く。
  「~から」の意味になることもある。A una de mis amigas le robaron la cartera. 私の友達の一人が財布を盗られた。
● a +人:「~を」、直接目的語(誰々を)が特定の人の場合、前置詞aが必要。物の場合は不要。Buscan a su hijo. 彼らは自分たちの息子を捜している。 Buscan su maleta. 彼らは自分たちのスーツケースを探している。
● すぐ後ろに男性単数定冠詞がくると、alという語形になる。Van al parque. 彼らは公園へ行く。
con
● con 「~と一緒に」 Vamos al parque con nuestro perro. 私たちは私たちの犬と公園へ行く。
de
● de +~:「~の」 所有、所属、材料などを表す。 Esta casa es de mi tío. この家は私の叔父のです。
● de +場所:「~出身」、「~から」 Soy de Caracas. 私はカラカス出身です。
● すぐ後ろに男性単数定冠詞がくると、delという語形になる。 Este libro es del profesor. この本は先生のです。
en
● en 「~で、~に」 Estudiamos en esta biblioteca. 私たちは、この図書館で勉強します。Estoy en la estación. 私は駅にいます。
para
● para 「~のために」「~にとって」 Mi abuela trabaja mucho para nosotros. 祖母は私たちのためにおおいに働く。

他にも por「~によって」「~のあたりを」、sobre「~の上に」、bajo「~の下に」、sin「~なしに」、según「~によって」、menos「~を除いて」、desde「~から」、hasta「~まで」、hacia「~に向けて」、entre「~の間に」、durante「~の間」などがある。

2-9 [人称代名詞直接目的格]


単数形複数形
1人称menos
2人称teos
3人称
あなた様
lo (le), lalos, las

● 人称代名詞直接目的格 me, te, lo(スペインではle), la, nos, os, los, las は、活用した動詞の前に置く。
  (肯定命令、それに活用していない動詞(不定詞、現在分詞)では動詞の後ろに付ける。)
● 否定文では、さらにその前に no が来る。
● usted, ustedes は、話し相手を意味するが、いつも三人称の代名詞(lo / le, la, los, las)を使う。
● 直接目的語は、「~を」といった意味を持つ。
  日本語動詞との違いで「~に」と訳す場合もある。No veo a Teresa. 私はテレサに会わない。

2-10 [人称代名詞間接目的格]


単数形複数形
1人称menos
2人称teos
3人称
あなた様
leles

● 人称代名詞間接目的格 me, te, le, nos, os, les は、活用した動詞の前に置く。
  (肯定命令、それに活用していない動詞(不定詞、現在分詞)では動詞の後ろに付ける。)
● 否定文では、さらにその前に no が来る。
● usted, ustedesは、話し相手を意味するが、いつも三人称の代名詞(le, les)を使う。
● 間接目的語は、「~に」「~へ」などと訳し、
 ー 動詞の動作の方向、対象を表す。
Mi padre me da un regalo. 父は私に贈り物をくれる。
 ー 動詞の行為の影響を受ける人物を表す。
La madre le lava la cara a su hijo. そのお母さんは子どもの顔を洗ってやる。(le「彼に」と a su hijo「子どもに」とは重複して表現されている)
 ー 分離の元「~から」を表す。Compro el libro a mi amigo. 私は友達からその本を買う。


p.12-p.13

2-11 [間接目的格と直接目的格]

● 間接目的格代名詞と直接目的格代名詞の両方を一文で使うときは、間接+直接の順番で使う。動詞の前でも、不定詞・現在分詞・肯定命令につけた時も同様。
 El señor me lo da. その男の人は私にそれをくれる。
 El señor quiere dármelo. その男の人はそれを私にくれたがっている。
● 間接目的格代名詞と直接目的格代名詞の両方が3人称の場合、間接目的格は、se という語形になる。
 El profesor se las manda. 先生は彼にそれらを送る。
 El profesor quiere mandárselas. 先生は彼にそれらを送りたがっている。

2-12 [人称代名詞前置詞格]


単数形複数形
1人称nosotros, nosotras
2人称tivosotros, vosotras
あなた様ustedustedes
3人称él, ellaellos, ellas

● 1人称単数と2人称単数の他は、主格と同じ形。
● 人称代名詞は前置詞 a, ante, bajo, con, contra, de, desde, en, hacia, hasta, para, por, sin, sobre, tras などの後ろで、前置詞格を使う。
● 所有形容詞の mi と区別するため、前置詞格の にはアクセント記号をつける。ti は他に同じ発音の語がないのでつけない。
● 位置的に前置詞の後ろにあっても、いつも前置詞格とは限らない。
 1) una silla para , 私のための椅子
 2) una silla para mi padre 私の父のための椅子
 前置詞 para「~のための」の後ろで、 1)では mí, が前置詞格、 2)では mi と padre 両方で一つの要素となって前置詞格であり、 mi は所有形容詞。
● con + mí は conmigo、con + ti は contigo、con + sí は consigo となる。
Contigo, pan y cebolla. (諺)お前とならパンとタマネギ。あなたと一緒ならどんなに貧しい時でも厭(いと)わない。手鍋下げても。(パンとタマネギが貧者の食事の象徴)
● 前置詞でも、次のものの後ろでは人称代名詞は前置詞格ではなく、主格が使われる。
 entre(再帰代名詞は前置詞格:sí), según
  Entre tú y yo no hay diferencia. 君と私との間で違いはない。
  Esto es un secreto entre tú y yo. このことは君と私との間の秘密だ。

2-13 [再帰代名詞]

「再帰代名詞」とは、主語として現れた人・物が同一文中に目的語として再び帰ってきたものを表す代名詞だから、主語と同じ人称、数の語形を使う。3人称のみ独自の形を持つ。

再帰代名詞目的格
単数形複数形
1人称menos
2人称teos
3人称
あなた様
se
  再帰代名詞前置詞格
単数形複数形
1人称nosotros, -tras
2人称tivosotros, -tras
3人称
あなた様

● 中南米では、vosotros, vosotras を使わないので、os も使わない。
● 前置詞格 sí は、前置詞 con と使われる時は、consigo となる。


2020/9/2. © 2020 HOTTA Hideo
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