スペイン語の地域差について

[人称代名詞主格]

　スペインでも中南米でも、usted は話し相手1人, ustedes は話し相手を含む複数の人を表すので、意味的には2人称であるけれども3人称扱いです。すなわち、これらが主語の時、動詞は3人称に一致させます。目的格、所有形容詞、再帰代名詞も3人称代名詞 él, ella, ellos, ellas と共通(lo, la, le, los, las, les, su, suyo, se, sí)です。
　上の表で中南米の2人称単数にvosとあるのは、voseoの主格代名詞です。voseoについては下の別の項に書きました。

発音

voseo

voseo とは、親しい話し相手1人に対して主格・前置詞格に tú でなく vosを使い、主語が vos の時、動詞に2人称単数でなく、2人称複数起源の動詞形(一部の動詞や時制では2人称単数形と同じ)を使いうことです。主格・前置詞格以外の代名詞は、tú の時(tuteo)と同じで、目的格に te、所有形容詞に tu, tuyo を使います。
　スペインの2人称複数の vosotros と中南米の voseo とは、歴史的な起源は同じです。以下、tuteo(スペインと中南米のvoseo以外の地域、メキシコ、ペルーなど)と、voseo の語形、それにスペインの vosotros を表にして示します。

　スペイン語王立学士院の出版物の動詞活用表には、主語が vos の時の動詞形も掲載されています。主語が tú の時と違うのは直説法現在と肯定命令の語形です。直説法現在では、2人称複数形の二重母音の活用語尾を単一母音にすると vos の動詞形になります。肯定命令では、2人称複数形の語尾 -d を消すと vos に対する肯定命令になります。
　スペインで必要な vosotros が主語の時の動詞活用形は、中南米では使われないのですが、voseo の動詞形には応用できます。このために、動詞活用形を覚える時には、各時制・法で、vosotros が主語の時の動詞活用形も覚えておくことを勧めます。