『スペイン語文法項目別ドリル問題集』補足
堀田英夫

第5章 その他

[問題の解説] p.66

5-1 [muy と mucho]

(1) 名詞を修飾する語が形容詞で、形容詞・副詞・動詞・文を修飾する語は副詞。bueno のような形容詞や bien などの副詞を強調する場合は、muy を使う。muy は副詞。ただし、muyは、動詞や文を修飾できない。
 Es un chico muy alto. (alto は形容詞) 彼はとても背の高い男の子です。
 Hace muy buen tiempo. (形容詞buen(=bueno)を強調している) とても良い天気です。
(2) calor, frío, sol, viento, hambre など、名詞を強調する場合は、mucho を使う。この場合mucho は形容詞で、性数変化する。
 Mucho gusto. (gusto も名詞) どうぞよろしく。((お会いできて)たくさんの喜び(を持つ))
 Tengo mucha hambre. とても空腹である。
(3) 動詞を強調する時も、mucho を使う。この場合 mucho は副詞。
 Nosotros jugamos mucho y estudiamos mucho. 私たちはよく遊びよく勉強する。
(4) 比較を強調するときもmuchoを使う。
 Mi primo es mucho más alto que yo. 私のいとこは私よりずっと背が高い。

5-2 [bienとbueno]

(1) bienは副詞で、動詞や形容詞を修飾する、buenoは形容詞で、名詞を修飾する。
(2) estar bien は、直訳すると「良く存在している」で、「いいよ!」や「〜は健康です」の意味で使う。
estar buenoは、直訳すると「〜が良い(状態にある)」で、「〜は健康です(体が良い)」や「〜はおいしい」の意味で使う。

5-3 [qué とcuál]

(1) quéは「何」(疑問代名詞)と「どんな」(疑問形容詞、後ろに名詞が置かれる) の二つの用法がある。
(2) cuálは「どれ」(疑問代名詞)、一定範囲の中からの選択で「何」とたずねる場合に使われる。中南米では、「どんな」(疑問形容詞、後ろに名詞が置かれる)の用法もある。
(3) ¿qué es -? は、-の定義を尋ねていて、¿cuál es -? では、-の(範疇の)中の「何」、「どれ」を尋ねている。

[問題の解説] p.68-p.69

5-4 [conocer と saber]

(1) conocer は、体験として知っている。ある学問分野などを熟知している。
 No conozco a aquella señorita. 私はあのお嬢さんを知りません=知り合いではありません。
 ¿Conoces Buenos Aires? ブエノスアイレスを知ってますか=行ったことがありますか?
 Luis conoce muy bien las calles de Madrid. ルイスはマドリードの道を大変良く知っている。
(2) saber は、知識として知っている。能力がある。
 Teresa sabe mucho de historia. テレサは歴史を良く知っている。
 Sabemos leer y escribir en español. 私たちはスペイン語で読み書きできる。
 Teresa y Naomi saben inglés. テレサとナオミは英語を知っている=英語ができる。
 ¿Sabes que van a hacer una fiesta el viernes? 彼らが金曜日にパーティーをするのを知ってるかい?

5-5 [verとmirar]

(1) ver 見る、見える、視野に入る
No te veo. 僕には君が見えない。
(2) mirar 注意して見る
No te miro. 僕は君を見ない。

5-6 [oírとescuchar]

(1) oír 聞こえる
No te oigo. 僕には君の言っていることが聞こえない。
(2) escuchar 意識して聞く
No te escucho. 僕は君の言うことを聞かない。(聞きたくない)

[問題の解説] p.72-p.73

5-7 [基数、序数]

p.4 のSuplemento 1, p.14のSuplemento 2 参照。

[1] 基数
(1) uno のついている数は、女性名詞の前では una となり、男性名詞の前では、-o が取れ un となる。veintiuno にも veintiuna という女性形がある。
(2) 十位と一位の間のみ y という接続詞を使う。十位の数詞が無い時は y は不要。

問題 I (4)の Las 1001 noches の読み方は、
「千一夜物語」の題名としては、古風な表現で慣用化していて、"Las mil y una noches" と y が入る。
千一の夜であれば、十の位の数詞が無いからyは不要で、Las mil una noches となる。
(3) 100は端数がないと cien、端数があると ciento. 「百」とのみ言う時は cien.
(4) 200以上の -cientos は、女性名詞についていう時は、女性形 -cientas となる。
(5) mil は不変化。「(一)千」と言う時は、mil.
1.000 mil
31.000 treinta y un mil : 30.000 treinta mil
(6) 点のある3桁ごとに読む。
(7) millón は男性名詞で、複数形 millones があり、名詞の数を言うときは、de を使う。
un millón de yenes 百万円、dos millones de habitantes 二百万人の住民

[2] 序数
(1) -o で終わる形容詞と同じ語形変化する。
(2) primero, tercero のみ男性単数名詞の前で -o が取れ primer, tercer となる。
(3) 十一以上は、基数を使うのが普通。

[3] ローマ数字
 スペイン語文章の中で、世紀、王様の名の「〜世」、本の章などは、ローマ数字で書く。
I, II, III, IV, V, VI, VII, VIII, IX, X,
XI, XII, XIII, XIV, XV, XVI, XVII, XVIII, XIX, XXが1から20である。
I が一、V が五、X が十、L が五十、C が百、D が五百、M が千を表し、
小大の並びがあれば大から小を引いた数にし、その後、同数および大小の並んでいるものを足し算した数を表す。
MCDXCII = 1492
MMIV = 2004

[問題の解説] p.72-p.73

5-8 [時間と日付]

  1. (1) medianoche は真夜中の12時。 a medianoche 真夜中に。
    夜中の1時15分としては、
    la una y cuarto de medianocheよりも、
    la una y cuarto de la madrugada
    la una y cuarto de la mañana
    la una y cuarto de la noche
    の表現の方がよく使われる。
    la una y cuarto después de medianoche 夜中過ぎの1時15分という言い方もある。
    (2) 30分過ぎると会話では、〜分前と表現するのが普通で、
    スペインでは、
    las cuatro menos cuarto のように、
    メキシコでは、
    cuarto para las cuatro と表す。
  2. 問題に出した日付は、ちなみに以下に書いたような日である。
    (1) 1492年10月12日:コロンブスが西インド諸島へ到達した日
    (2) 1810年9月16日:メキシコの「ドローレスの叫び」、神父Miguel Hidalgoが独立運動を開始した。
    (3) 1816年7月9日:アルゼンチン独立記念日、リオ・デ・ラ・プラタ諸州連合として独立宣言
    (4) 1945年8月6日:広島の原爆の日
    (5) 1989年11月9日:ドイツ・ベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦の終結

[問題の解説] p.74

5-9 [語形成]

 外国語習得に必要な語彙力を増やす一助として語形成を理解しておくと良い。

  1. 二つ以上の語を合成して作られる複合語
  2. 接尾辞を付けることによる派生
    (4) diente(歯)に -ista のような接辞を付けると二重母音ieは短母音eとなる。歴史的には逆で、アクセントのある短母音eが二重母音ieに変化したため、接辞が付いた形はeにアクセントがなく二重母音になっていないもとの短母音を保持している。
  3. 接頭辞を付けることによる派生
    (2)の動詞exponer(さらす、展示する)のように、接頭辞を付けて派生した動詞の活用形は、poner(置く)と同じである。
    (ただし2人称単数命令形pon -< expónのようにアクセント符号を注意すべき形がある。
    また、bendecir(祝福する), maldecir(呪う)など、一部の動詞はdecir(言う)と違い規則変化形となる。)

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