(1) 人称代名詞主格=「主語として使われる形」を学ぶ。
(2) 動詞の形で主語がわかるので、この人称代名詞主格は、敬語として使われる usted, ustedes 以外は、強調や対比の意味がある時のみ使われる。
(3) 親しい人には tú、親しくない人には usted を使う。初対面の人(特に年上の人)には、usted を使い、親しくなってから相手の了解を得て tú で呼ぶ。学生同士、若者同士は、最初から tú を使うのが普通。
(4) 親しい人の tú と親しくない人の usted を区別するために、文法形式としての2、3人称と、意味としての「話し相手」とを区別する必要がある。tú は2人称で usted は3人称。
(5) 英語の I はいつも大文字で書かれるが、スペイン語の人称代名詞はそのようなことは無い。usted, ustedes の略語:U., V., Ud., Vd., Uds, Vds. は、いつも大文字で書かれる。
(1) 主語が、話し手の1人称単数「私」、話し相手の2人称「あなた」、第3者の3人称単数「彼(女)」のうちどれかによって、英語のbe動詞がam, are, isと変わるのと同様。ヨーロッパの言語の多くは、主語によって動詞の語尾変化がある。英語の一般動詞もかつては同じように語尾変化があったが、歴史的変化により、3人称単数のみ -sが付いた形として残った。
スペイン語でも主語の人称・数や、時制・法によって動詞の語尾変化がある。時制は、過去、現在、未来などの区別のこと。法とは、ものごとの表現方法の違いを示す文法範疇で、スペイン語には直説法、接続法、命令法の3つの法がある。本書では直説法を確実に学び、接続法は命令文に使われる形を中心に学ぶ。一つの時制につき、1、2、3人称と単数、複数の合計6つが基本となる。
(2) 動詞時制としてはまず現在形=直説法現在を学ぶ。「〜している」とか「〜する」と訳し、現在の行為・習慣、確実な未来の予定などを意味する。規則変化形を学ぶ。不定詞(英語学習で言う原形のこと、辞書の見出しとなっている)の語尾で分類できる3種類:AR動詞、ER動詞、IR動詞でそれぞれの語形変化をする。現在形以外では、後者二つは同じ活用形となる。
(3) 訳読練習の時には、主語が語として表現されていない文でも動詞語尾から主語を読みとり、日本語としては不自然だが「〜は/が、〜する」と訳して、いつも主語を意識する必要がある。学習が進んで複雑な文章を理解するにはそれぞれの文で主語が誰かがわかっている必要がある。
(1) 主語+動詞+目的語の基本的な語順は英語と同じ。実際に発話される場合は、どの部分を相手により伝えたいかによって主語や目的語の位置が変わってくる。 Luis(主語) habla(動詞) español(目的語).
(2) 否定文は、動詞の前に no を付ける
Luis no habla español.
(3) Sí か no で答える疑問文の場合は、イントネーションを疑問調(文末で上げる)にするのと文頭にさかさまの疑問符、文末に英語と同じ ? を付けるのが義務的で、普通、動詞+主語の語順にする。
(4) 答える時、肯定文を答える時は、いつも sí、否定文を答える時はいつも no を言う。だから否定疑問文の答えでの sí、no の日本語訳は逆になる。
- ¿Luis no habla español?
- Sí, habla español. いいえ、スペイン語を話します。
- No, no habla español. はい、スペイン語を話しません。
(5) 疑問詞を使う疑問文では、疑問詞を文頭に置き、普通、動詞+主語の語順にする。
¿Qué leen?
¿Dónde vives?
メキシコやペルー、カリブ海域などでは、2人称複数形を使用しないので、学習目的がこれらの地域のスペイン語を習得するというように限定されているのなら動詞活用は、5つの語形のみを学べばよい。アルゼンチンでは、2人称複数活用語尾の短母音化した形を親しい話し相手の主語 vos に一致させて使うので2人称複数形を覚えておいて、-aisを-asに、-eisを-esに変えて使う。
現代のコスタリカ(少なくとも首都サンホセ)では、親しい話し相手に tú や vos でなく、usted (と3人称動詞形)を使う傾向が広まっている。スペインなら usted と tú で区別するのがコスタリカでは代名詞主格と動詞形のみでは区別しない話し方になっている。口調とか別の部分では話し方は違っているはずである。